介護療養病床の転換先として誕生した介護医療院創設までの背景

介護医療院という2018年に創設された施設は、それまで介護療養型医療施設などが持っていた役割を担うための施設です。看護師も常駐する施設ですので、今後、転職先に介護医療院を選ぶ人たちも増えてくるでしょう。そのためにも、介護医療院への理解を深め、同時に、介護医療院が創設された背景や経緯も知っておきましょう。
介護療養型医療施設という存在がこれまでありましたが、この施設は長期間にわたって医療や介護、リハビリが必要な人たちのための存在でした。長期間の医療療養が必要な入所者には医療療養病床として医療保険を適用できるようにし、また、介護療養が必要な入所者には介護療養病床として介護保険を適用できるにしていたのです。
しかし、このような違いがあるにもかかわらず、現実には入所する高齢者は医療が必要なのか介護が必要なのか厳密に分けられていませんでした。治療を特に必要としないのに「社会的入院」という形で利用している高齢者も多かったのです。

この問題に対応するために、厚生労働省は介護療養病床を廃止して、別の施設に転換するよう取り組みを進めます。医療と介護の必要性を明確に分けることで、医療費の削減を果たすのが狙いでした。しかし、転換は思うように進まず、当初2011年度末までに廃止するとしていた介護療養病床でしたが、2017年度末にまで延長され、その後、経過措置として2023年度末を一応の期限と定めたのです。
このような背景で誕生したのが介護医療院です。医師と看護師が常駐し、利用者の容態が急変した時にも対応できるようにしています。